脂肪吸引のダウンタイム、正直どのくらいなのか。これはカウンセリングで一番多い質問です。
日常生活に戻れるまでは1〜2週間。最終的な仕上がりまでは3〜6ヶ月。 ただし部位によって1〜3週間の差があります。
私はこれまで数多くの脂肪吸引を手がけてきました。ダウンタイムで患者さんが不安に感じるポイントはだいたい同じ。この記事では部位別・時期別の経過と、患者さんからよく聞かれる質問にお答えします。
そもそもダウンタイムって何が起きているのか
脂肪を取り除いた空間を、体が修復している期間。これがダウンタイムです。
出る症状は、腫れ、内出血、むくみ、痛み、硬縮(こうしゅく)の5つ。腫れは吸引した部位全体がふくらむ。内出血は紫色のあざが出て、徐々に黄色くなって消えていく。むくみで一時的に太く見える。痛みは筋肉痛に近い鈍痛。硬縮は2週間以降に皮膚が硬くつっぱる現象で、これが一番不安になる方が多い。
全部、体が治ろうとしている正常な反応です。
ダウンタイムをゼロにする方法はありません。身体が再生するために必要な時間なので。大事なのは**「短くする」ことよりも「悪化させない」こと**。ここを間違えている方が本当に多い。
部位別のダウンタイム一覧
| 部位 | 強い症状が出る期間 | 仕上がりまで |
|---|---|---|
| 顔(頬・顎下) | 約1週間 | 約3ヶ月 |
| 二の腕 | 1〜2週間 | 3〜6ヶ月 |
| お腹・ウエスト | 約2週間 | 約6ヶ月 |
| 太もも・お尻 | 2〜3週間 | 約6ヶ月 |
| ふくらはぎ | 1〜2週間 | 3〜6ヶ月 |
| 背中・肩 | 1〜2週間 | 3〜6ヶ月 |
一番回復が早いのは顔。血流が豊富なので治りが早い。逆に太ももやお腹は範囲が広い分、症状が長引く傾向があります。
吸引量でも変わります。少量なら短め、広範囲を一度に吸引すれば長め。カウンセリングで吸引量に合わせたスケジュールをお伝えしています。
脂肪吸引の安全性については、2024年に29,368人を対象としたメタアナリシスで合併症率2.62%と報告されています(Katz AJ et al., Aesthetic Surgery Journal, 2024)。
時期別の経過 — 何が起きて、どう過ごすか
当日〜3日目: 一番つらい時期
術後直後から腫れと痛みが始まります。筋肉痛の強い版、という表現が一番近い。
お腹なら起き上がる動作がつらい。太ももなら階段で手すりが必要になることも。ただし痛み止めを処方するので、我慢できないほどにはなりません。
この時期に患者さんがよく聞くこと
「思ったより痛いんですけど大丈夫ですか?」——大丈夫です。痛みは術後2〜3日がピーク。ここを越えれば楽になっていきます。
「むくんで太って見えるんですが」——正常な反応。麻酔液の残りとむくみが原因で、1〜2週間で引く。吸引した部位が術前より大きく見えても、焦らなくて大丈夫。
4日〜1週間: 少しずつ楽になる
痛みのピークは過ぎます。内出血が紫から黄色に変わり始めるのがこの時期。黄色くなるのは吸収されている証拠です。
1〜2週間: むくみが引き始める時期
ここから回復を実感し始めます。見た目の腫れは7〜8割改善し、「あれ、ちょっと細くなった?」と感じる方も出てきます。
ただし注意点が一つ。「まだ太く見える」と焦る方がいる。むくみが完全に引くのは1ヶ月後。ここで結果を判断するのは早い。術前の写真との比較も、もう2週間は待ってほしい。
内出血はほぼ消えるか、薄い黄色が残る程度。日常生活はほぼ通常通りに戻れます。軽い運動も1週間を過ぎたあたりから始められます。
2週間〜1ヶ月: 硬縮が始まる
皮膚が硬くつっぱる感覚が出てきます。これが硬縮(こうしゅく)。触るとゴリゴリしたり、表面がボコボコに見えることもあります。
不安になる方が非常に多い時期。でもこれは脂肪を取った空間に新しい組織が作られている証拠。Mondでも「拘縮が始まったんですが大丈夫ですか」と質問をよくいただく。まだ硬縮している期間なら、今後必ず改善してきます。
硬縮は3ヶ月程度かけて徐々に柔らかくなっていきます。この期間中に検診に来ていただければ、経過が順調かどうかお伝えできます。「順調ですよ」の一言で安心される方がほとんどです。
3〜6ヶ月: 完成
硬縮が落ち着き、本来のシルエットの完成。フェイスラインのシャープさ、ウエストのくびれ。「やってよかった」と思える時期です。
脂肪吸引の結果を正しく評価できるのは最低3ヶ月後。研究データでも、最終結果の70〜80%が見えるのは3〜6ヶ月後とされています。1ヶ月で判断するのは早すぎます。
仕事復帰はいつからできる?
| 仕事のタイプ | 復帰時期 |
|---|---|
| デスクワーク | 3〜5日後 |
| 接客・軽い立ち仕事 | 1週間後〜 |
| 肉体労働 | 2〜3週間後 |
顔の脂肪吸引ならマスクで隠せるので、3日後に出社する方もいます。ボディは洋服でカバーできるので、意外とバレにくいですよ。金曜に施術を受けて月曜から出社、というスケジュールが人気です。
通勤で満員電車に乗る方は要注意。お腹の脂肪吸引だと、押されるのがつらい時期があります。最初の1週間は在宅勤務との組み合わせがベストです。
ダウンタイムを悪化させる行動 — 患者さんからの実際の質問
Q. 術後にお酒飲んでもいい?
1週間は控えてください。お酒は血流を一気に上げてしまうので、内出血の悪化・むくみの増悪・硬縮の長期化の原因になります。脂肪吸引の後は体の中全体が炎症モードなので、アルコールがその炎症をあおってしまう。ビール1杯でもダメです。
Q. 早くマッサージした方がいい?
逆効果です。術後すぐの強いマッサージは、まだ安定していない組織への刺激になります。内出血の拡大や回復の遅れにつながるので、マッサージを始めるタイミングは検診で確認してください。
Q. 圧迫着がきつくて外したい
気持ちは分かりますが、圧迫は仕上がりに直結します。腫れの抑制と皮膚の定着を助ける大事な工程です。自己判断で緩めたり外したりすると仕上がりに影響が出ることがあります。
顔のフェイスバンドは圧迫のしすぎに注意。適度な圧が大事です。脚の圧迫着はそこまでの圧がないので、顔ほど神経質にならなくて大丈夫。
Q. 長風呂は大丈夫?
術後1週間はシャワーで。湯船に長く浸かると血流が上がって腫れがぶり返します。サウナも岩盤浴も同じ理由で1週間はNG。シャワー自体は翌日からOKです。
回復を早めるためにできること
ダウンタイムをゼロにはできませんが、悪化させない工夫はできます。生活習慣が地味に大事なんです。
圧迫着を正しく着用する
最初の1週間は24時間。その後も就寝時は1ヶ月続けてください。腫れの抑制、皮膚の定着、痛みの緩和。この3つが圧迫着の役割。サボると仕上がりに響きます。
食事はタンパク質とビタミンC
体の修復には材料が要ります。鶏肉、卵、豆腐あたりでタンパク質を。果物やサプリでビタミンC。コラーゲンの生成にビタミンCが使われるので、不足すると回復が遅れます。術後は体重1kgあたり1.5〜2.0gのタンパク質が目安(PMC, 2021)。普段より多めに摂ってください。
軽い散歩は1週間後から
血流を適度に促すとむくみの回復が早まります。ただし筋トレやランニングは2〜3週間後から。組織が安定する前に激しく動くと逆効果。
睡眠
地味だけどこれが一番大事。体の修復は寝ている間に進む。術後1週間は特に意識して寝てください。
インディバは効果ある?
硬縮期に入った患者さんからよく聞かれます。インディバは高周波温熱によって局所の血流増加とリンパ循環の改善が報告されています。やって悪いことはないので、まず3回くらい試してみて、効果を感じたら続けるのが現実的です。1回10,000〜20,000円程度が相場。
実際に脂肪吸引を受けた方が感じたこと
前職も含め、私の施術を受けた患者さんの口コミ(Googleマップ・トリビュー・カンナムオンニ合計330件)を見ていると、ダウンタイムについて共通して出てくる声があります。
「思ったより楽だった」と「思ったよりつらかった」の差
これ、事前に経過を聞いていたかどうかで決まることが多い。「術後2〜3日がピーク」「むくんで太く見える時期がある」と知っていれば、実際にそうなっても「聞いていた通りだ」で済む。知らないと「こんなはずじゃなかった」になる。
硬縮の時期
「表面がボコボコで不安になった」——この声は本当に多い。見た目だけで順調かどうかは判断しにくいので、検診で確認するのが一番です。「順調ですよ」の一言で安心される方がほとんど。
圧迫着のストレス
施術自体より圧迫着が地味にしんどかった、という方が意外と多い。寝る時の窮屈さ、夏場の蒸れ。ただサボると仕上がりに響くので、ここは工夫しながら乗り越えてほしい。着け方で楽にする方法はカウンセリングでお伝えしています。
こんな時はすぐ連絡を
以下の症状が出た場合は合併症の可能性があります。
- 痛みが日に日に強くなる(通常は徐々に引く)
- 38度以上の発熱が2日以上続く
- 傷口から膿や異臭がある
- 片側だけ異常に腫れている
前述のメタアナリシスでも合併症率は2.62%と低いですが、ゼロではありません。「もう少し様子を見よう」ではなく、すぐご連絡ください。早期に対応すれば大きな問題にはなりません。当院では術後のLINE相談を受け付けていますので、少しでも気になることがあればいつでもご連絡ください。
まとめ
脂肪吸引のダウンタイムは部位によって1〜3週間。完成は3〜6ヶ月後。
焦らないこと。悪化させないこと。この2つだけ守ればいい。圧迫・栄養・睡眠——地味だけど、これが回復を左右します。
「いつ手術すれば何月には完成するか」。カウンセリングではお仕事や生活スタイルに合わせて具体的にお伝えしています。不安がある方はLINEからご相談ください。
参考文献:
- Katz AJ et al. “Risks and Complications Rate in Liposuction: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Aesthetic Surgery Journal, 2024.
- Rohrich RJ et al. “Optimizing Body Contour in Massive Weight Loss Patients.” Plastic and Reconstructive Surgery, 2020.
- Wall BT et al. “Pre- and Post-Surgical Nutrition for Preservation of Muscle Mass, Strength, and Functionality Following Orthopedic Surgery.” Nutrients, 2021.
※効果には個人差があります。施術のリスク・副作用については、カウンセリング時に詳しくご説明いたします。
執筆:伊藤 優(京都大学医学部卒・美容外科医)